2023年度山口県芸術文化振興奨励賞を受賞された保手濱拓さんにインタビューしました。
作品制作の原動力や郷土への思いについてお話を伺いました。
保手濱拓さんのプロフィール
山口県山口市出身。2000年、独学で作品制作を始める。東京での活動期間を経て、2006年から拠点を山口に移す。山口県内をはじめ、全国各地で滞在制作、個展の開催を行っている。2016年、第70回山口県美術展覧会大賞、2022年第28回エネルギア賞美術賞など、受賞多数。また、まど・みちお詩集『のぼりくだりの…』など、詩集等の挿絵も手がける。
受賞について
- Q:山口県芸術文化振興奨励賞を受賞されてのご感想をお聞かせください。
- A:名誉ある賞をいただき大変光栄に思います。
人とのご縁の積み重ねがあって画家としての活動を続けて来ることが出来、その先にこの度の受賞がありました。これまでお世話になって来た方々、いつも応援して下さる方々に深く感謝しています。
創作活動について
- Q:保手濱さんにとって、絵画創作の魅力とは何ですか?
- A:個人的には色彩に対しての興味、探求心のようなものが絵画制作におけるいちばんの魅力になっています。色を混ぜ合わせ塗り重ねる中で全体の色彩が心地よく調和した絵が仕上がった時にはなんとも言えない喜びがあります。
- Q:絵画を制作する際は、どのようなことを心がけていらっしゃいますか?
- A:表現する対象を出来る限り自分の目で見て、手で触れて知ることを心がけています。
草花を描くために花のつくりや花期を調べたり、海を表現するために打ち寄せる波の回数やリズムを記録したりしたことがありました。
五感を使って対象をさまざまな面から知ることで自分なりの解釈、表現に向かうきっかけとなっているように思います。
山口県について
- Q:御自宅(山口市秋穂二島)付近をはじめ、県内各地の風景を題材とした作品を多く創作されていますが、山口県の風景、風土は御自身の創作にどのような影響を与えていますか?
- A:幼少期から目にして育った山口南部の風景や自然は自分自身にとって原風景のようなものになっています。
どんな色を使うか?どんな線を引くか?制作の中で無意識に繰り返す判断、それを決める感性の深い根っこの部分で大きく影響を受けていると思います。
未来について
- Q:今後の目標や抱負を教えてください。
- A:これまでに全国の半数ほどの都道府県で古典や出典、滞在制作などをさせていただきましたが、まだまだ展示を行ったことのない都道府県も多く、今後はそのような場所での作品発表の機会を求めてきたいと思っています。それと同時に海外での活動、作品制作の機会を模索し求めていきたいと考えています。
- Q:最後に、山口県の若いアーティストに向けてアドバイスや応援のメッセージをお願いします。
- A:アーティストとして何よりも力を注ぐべきはやはり自身の表現を生み出し、磨き、創作に挑み続けることであると信じ、自分自身活動を続けて来ました。
平坦な道ではなく、思い悩む日々もあるかもしれませんが、継続した先には何か形になる、拓けるものが必ずあると思います。