2024年度山口県芸術文化振興奨励賞を受賞された田中祐樹さんにインタビューしました。作品制作の原動力や郷土への思いについてお話を伺いました。
田中祐樹さんのプロフィール
山口県宇部市出身。2011年、自身のリーダーアルバム“Piano Mystique”を配信リリース。(作曲、編曲、演奏、プロデュースなどを担当)。以後、野⼝英世記念ばんだい⾼原国際⾳楽祭やハリウッド・フェスティバル・オーケストラ“ニューイヤージャパンツアー”など、様々な音楽イベントで編曲やオーケストレーションを担当している。また、演奏家としても石井竜也などのアーティストと共演するなど活躍中である。
受賞について
- Q:山口県芸術文化振興奨励賞を受賞されてのご感想をお聞かせください。
- A:栄誉ある賞を賜り、大変光栄に思います。
音楽制作や演奏会などは関連する様々な業種の方々が携わって実現するチームワークであり、これまで一緒に仕事をしてきた皆様に深く感謝しております。また、私の音楽家としての仕事に理解を示し温かく見守ってくれている家族やご縁のある方々にも大変感謝しております。
今般の受賞を励みに邁進して参ります。
創作活動について
- Q:田中さんにとって、作曲・編曲等の音楽創作や演奏の魅力とは何ですか?
- A:作・編曲の際は楽譜を完成した後、コンサートで演奏されるにせよCDなどの録音物を制作するにせよ音になるわけですが、初めて実際の音となった時は何とも言えない感慨があります。各楽器のバランスなどはオーケストラなどの場合実験できませんし予測を外す訳にはいきませんので慎重に頭の中で計算しながら楽譜を作ります。実際に演奏された時にこういったことが目論見通りにいきますとニヤリとしてしまいますね。
演奏の際は、音色のコントロールなど気を付けていることが上手くいきますと気持ちが良いことですし、どのように演奏しようかと楽譜を分析するのも色々と発見することもあり面白いことだと思っています。合奏の場合など全体で音を出すときはワクワクします。
- Q:音楽の創作・演奏に当たっては、どのようなことを心掛けていらっしゃいますか?
- A:作・編曲の際は、演奏上やたら難しいのに大して効果がないような譜面は書かないようにする。特段の理由なくあまりに動きのなさすぎる譜面は演奏家が退屈するので書かないようにする。楽器によって演奏しにくい音形などはそれぞれ違うので配慮して書く。歌詞のある楽曲については歌詞の世界観を重視し表現するように工夫するなどといったことを心掛けています。
演奏の際は、音色のコントロールや和音の構成音それぞれの強弱バランスを気を付ける。全体の構成を見渡しその効果が反映できるように演奏するなどです。
山口県について
- Q:現在、宇部市を拠点として作曲・編曲や演奏活動に取り組まれていますが、宇部市をはじめとする山口県の風土や生活環境は、御自身の創作等にどのような影響を与えていますか?
- A:宇部市は都会ではないのですが特別不便というわけでもなく、空港も近く、自然も多く、人口は多過ぎずで私にとってはあらゆる面で程良い環境です。宇部市に限らず山口県は穏やかで過ごしやすく、とても居心地の良い所と感じております。環境面でのストレスは少なめですし、煮詰まった時など少し外出して気分転換するにも最適で、快適に取り組むことが出来ます。ノスタルジックなサウンドの楽曲を制作する際などは宇部市や山口県の風景などを思い浮かべます。
未来について
- Q:今後の目標や抱負を教えてください。
- A:これまでなかなか自分の自主制作作品を作る時間が取れず、リーダーアルバムは2011年に“Piano Mystique”という配信EPアルバムを出したきりになっていますが、今後こうした時間を取って次のアルバムを出せたら良いなと思っております。
- Q:最後に、山口県の若いアーティストに向けてアドバイスや応援のメッセージをお願いします。
- A:盤石な基礎力、専門分野に限らない幅広い教養、そして心身が元気であること、これらはとても大事なものだと思います。
私は20年以上前に無理が祟って体を壊しましたが、今も人よりも多くの休息・休憩を取って体調を整えないとまともに作業ができませんので使える時間が少ない状態です。ですので心身を壊さないように休んで状態を整えることもとても大事なことだと思います。