VOL.14 吉開 菜央さん

VOL.14 吉開 菜央さん

2022年度山口県芸術文化振興奨励賞を受賞された吉開菜央さんにインタビューしました。
作品制作の原動力や郷土への思い等、さまざまなことをお話いただきました!

画像:吉開 菜央近影

吉開菜央さんのプロフィール

 山口県光市出身。日本女子体育大学舞踊学専攻卒業、東京藝術大学大学院映像研究科修了。自らの心身に蓄積した経験・感覚・気配・記憶などを、映画制作を中心に、あらゆるメディアで表現している。作品は、国内外の映画祭での上映をはじめ、展覧会でもインスタレーション展示されている。MVの監督や、振付、出演も行う。監督した主な映画は『Shari』(ロッテルダム国際映画祭2022公式選出)『Grand Bouquet』(カンヌ国際映画祭監督週間2019正式招待)『ほったまるびより』(文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門新人賞受賞)。米津玄師MV「Lemon」出演・振付。東京造形大学非常勤講師。

受賞について

Q:山口県芸術文化振興奨励賞を受賞されてのご感想をお聞かせください。
A:とても嬉しく思います。わたしの制作している映画はおそらくみなさんの想像される映画の枠からかなりはみ出た作風だと自覚しているのですが、これを機に、山口県でも実験的な映画作品に興味を持ってくれる方や、鑑賞の機会が増えたらいいなと思います。

創作活動について

Q:吉開さんにとって、ダンスや映像制作の魅力は何ですか?
A:全身の感覚を使って、いろいろなものと関わることで、自分にはなかった考えや表現が生まれてくることが一番興味深いです。特にわたしにとっての映画作りは博打のようなもので、これなら絶対上手くいく、という手法がありません。毎回いろいろな方を巻き込みながら、まだ見たことのないものを手探りで形にしていきます。自分でも最終形がよくわからないもの、得体の知れない感覚を、いろんな人と一緒に具現化していく、その過程がとても好きなのだと思います。
Q:作品を制作する際は、どのようなことを心がけていらっしゃいますか?
A:事前にあらゆることを考えて準備しておきつつ、撮影でも編集でも、その時々の強い直感に従うことを大事にしています。こうした強い感覚を、わたしは情動と呼んでいます。完成した映像を観ることで、その情動が言葉を超えて、力強く心身に響くことがあるかもしれないと感じています。
映画『Shari』より
映画『Shari』より 撮影:石川直樹
映画『Shari』より

山口県について

Q:ご自身の創作活動の中で、山口県との繋がりを感じることはありますか?
A:自然豊かな場所で育ったこと、今でも実家に帰ると海も山もすぐ近くにあることは財産だなと思います。また、過去にはYCAMで賞をいただいたり、秋吉台国際芸術村で滞在制作をしたりと、そこで得た人との繋がりは、今も大切にしています。

未来について

Q:今後の目標や抱負を教えてください。
A:今までつくってきたものを大事にしながら、純粋に興味のあるものとの出会いをたのしみつつ、ご縁を大切にしてこれからも精進したいと思います。
Q:最後に、山口県の若いアーティストに向けてアドバイスや応援のメッセージをお願いします。
A:作品制作を通して、さまざまな土地、生き物、人のご縁を全身で感じられますように。出会ったものに反応できる心身が、ともに健康であることをなによりも最優先させたいと自分自身でも思います。

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